大学入学共通テストがスタート
センター試験の後継である「大学入学共通テスト」は、最初の試験が2021年1月(センター試験と同様に1月の中下旬の2日間)に実施されます。センター試験に続いて共通テストの作問を行う大学入試センターは、2017・2018年度に大掛かりな試行調査(プレテスト)を実施し、それを踏まえた共通テストの問題作成の方向性を、2018年6月と2019年6月に公表しました。それによると、科目数はセンター試験と変わらない予定ですが、共通テストでは、「知識・技能」だけでなく、「思考力・判断力・表現力」を一層重視するという方針のようです。これに伴い、共通テストでは、現在のセンター試験で実施されているマーク式の問題に加え、記述式問題も導入されることになりました。今まで以上に知識の丸暗記では対応できなくなるため、どの科目でも深い理解が求められることになります。
「話す」「書く」を含めた英語4技能が課されるように
新大学入試で一番大きく変化するのが英語です。これまでの大学入試では英単語や文法などの知識の量が合否を左右する傾向がありました。しかし今後は、知識を使いこなし「コミュニケーションに使える英語力」が重視されるようになります。センター試験では英語受験者には「筆記」「リスニング」が課されていましたが、共通テストでは「筆記」は「リーディング」に名称が改称されるとともに、配点が200点から100点に変更されます。一方、「リスニング」の配点は50点から100点に変更され、「リーディング」と同配点になります。「リーディング」では、様々な文章から概要や要点を把握する力や、必要とする情報を読み取る力などを問うことを狙いとし、センター試験で出題されていたような、発音、アクセント、語句整序などを単独で問う出題はなくなります。
共通テストの「リスニング」と「リーディング」の問題で「聞く」「読む」力を測り、それに資格・検定試験で「話す」「書く」力を加えて英語4技能を測ります。
資格・検定試験にはいくつかの種類がありますが、入試ではそれぞれの試験のスコアをCEFR(セファール)という統一基準に換算して評価されます。これらの成績を管理する「大学入試英語成績提供システム」が新設され、受験生が受けた資格・検定試験の成績を大学入試センターが一元的に管理し、入試に利用する大学へ成績を提供することになっています。
調査書等を活用し主体性が評価される
現在も一部の大学で導入されていますが、今後は「主体性を持って多様な人と協働して学ぶ態度」をより積極的に評価するために、調査書や出願者本人が記載する資料等を積極的に活用する大学が増加する見込みです。学校推薦型選抜(現・推薦入試)、総合型選抜(現・AO入試)ではもちろん、一般選抜でも調査書等を活用すると発表している大学が複数あります。また、一般選抜において出題科目が1~2科目に限定されているケースや、記述式問題の出題が実施されていないケースが見受けられることから、「出題科目の見直し・充実」「国語を中心とした記述式問題の充実・導入」に取り組むことが促されています。各選抜の実施スケジュールの規定にも変更があります。総合型選抜と学校推薦型選抜は、入試のスケジュールが早く高校教育や受験生本人の学習意欲に及ぼす影響が懸念されていたことから、全体的に後ろ倒しのスケジュールとなるよう規定が変更されます。総合型選抜の出願時期は9月(現行8月)以降、合格発表時期は11月以降(現行:規定なし)、学校推薦型選抜の出願時期は11月以降(現行と同様)、合格発表時期は12月以降(現行:規定なし)となります。